2015年9月8日火曜日

シュリーマド・バーガヴァタム講習:第2日目

シュリーマド・バーガヴァタム講習の第2日目はアヴァターとバクタ、つまりは主の化身たちと彼らにマインドとハートを集中し続けた帰依者たちの話が満載の1日でした。ここまで聖典を読み進めてきて、話はクリシュナとパーンダヴァの一族の崩壊までやってきました。カリ・ユガの始まり、そしてマハ・ヴィシュヌの化身ヴァラーハの到来です。それぞれのストーリーのスワミの解説を通して、そこに秘められたバクティの宝石を垣間見ることができます。それぞれのジレンマが人が主へ全託する方法を指し示しています。どれほど悲惨な状況に見えても、1つ1つの状況は個々の魂を押し上げ
るため神が実際に細部に渡って計画したものであることが分かります。




2日目の主題

  • パーンダヴァ兄弟の大伯父、ビーシュマの死:
    18日間のクルクシェートラの戦いの激しい興奮の最中でさえクリシュナから意識を外さなかったビーシュマの話。
  • ヤーダヴァ一族の2重の呪い:
    クリシュナの息子の身から出た錆と、100人の息子を失った母親の恨み、2つが合わさってクリシュナの一族であるヤーダヴァ一族とパーンダヴァ一族への致命的な呪いをもたらしました。
  • ヴァラーハの出現、悪魔ヒラニヤクシャとの戦い:
    ヒラニヤクシャとその弟、ヒラニヤカシプは実は天国の門番ジャヤとヴィジャヤでした。そのうちヒラニヤクシャが最初に地球に大災難を引き起こしました:世界を水中に沈めたのです。そしてナーラーヤナは祈りに答えて現れました。
  • カリ・ユガの到来とパリクシット王の呪い:
    偉大で賢い王パリクシットが森で悲惨な場面を目撃します。ある男が雄牛に残酷な拷問を与えていました。この男は実はカリ・ユガ(悪徳の時代)、この雄牛はダルマ、義務と徳の化身でした。カリ・ユガは王に命乞いをし王宮でかくまってもらえるよう頼みました。王は情けをかけました。しかしひとたびカリ・ユガが金品に囲まれた保護を受けるようになると、彼はパリクシット王のマインドにネガティブな影響を与え始めました。その後王はある聖者のアシュラムへ赴きました。カリ・ユガの影響を受けていた王は聖者を罵りました。それを見た聖者の子供が怒り、パリクシット王にあと7日間以内に蛇に咬まれて死ぬという呪いをかけました。
  • 人生最後の7日間の生き方としてパリクシット王が選んだ道:
    呪いを自覚した後、パリクシット王はグルに残りの時間をどう過ごすべきかを尋ねました。グルは彼をシュカデーヴ・ゴースヴァーミーのもとへ行かせました。シュリーマド・バガヴァタムとして顕現した主の栄光を聞くために。パリクシット王はそれに従いました。



ビーシュマの死

カウラヴァ/パーンダヴァの王国の偉大なる指導者であったビーシュマは、実は聖なる河ガンガー女神とシャンタヌ王との間に生まれた子供でした。彼は素晴らしい生涯を送っています。幼い時からその才能に恵まれた戦士であり、父を助けるためブラフマチャリヤの誓いを立て、斧を操る主ヴィシュヌの第6番目の化身であるパラシュラーマから戦術の指南を受け、そのパラシュラーマを23日にも及ぶ戦いの後打ち負かしました。彼は2人の義兄弟の後を引き継ぎ、英知と徳によってその王国を導きました。そんな中、彼の義兄弟の子供たちであるパーンダヴァとカウラヴァの一族は育っていったのでした。

神聖に生まれし魂である彼は、自ら死期を選べる特権が与えられていました。この祝福と彼の類まれな戦士としての才が相まって、彼を戦場における極めて脅威的な存在にしていました。しかしビーシュマはその秀でた英知と徳にも関わらず、それが誰であろうと王国の支配者に仕えるという誓いに縛られていました。クルクシェートラの戦いにおいて、それは盲目な王ドゥリタラーシュトラでした。カウラヴァ兄弟の父であり、パーンダヴァ兄弟の敵です。

クルクシェートラの戦いにおいて、ビーシュマに彼を相手に戦う許可を乞うパーナンダヴァ兄弟。
彼は兄弟たちに勝利を祈りました。
彼の誓いゆえに、ビーシュマはパーンダヴァ兄弟たちと戦わなくてはいけませんでした。彼らに対して同情の念を抱いてはいましたが。それでも彼はパーンダヴァ兄弟の誰1人も殺さないという誓いを立てました。それによりカウラヴァ兄弟の長男ドゥルヨーダナはうろたえました。ドゥルヨーダナは彼のパーンダヴァ兄弟に対する愛情が、カウラヴァ軍の大将としての彼の力を失わせていると言ってビーシュマに何度も異議を唱えました。それでもビーシュマはカウラヴァ軍にとって最大の戦力でした。彼が戦場で戦っていた際、100人のカウラヴァ兄弟はただの1人も傷つかなかったのです。

数日間戦った後、両軍は力が拮抗していること、戦いは決着がつかないことに気づきました。クリシュナはパーンダヴァ兄弟たちに、ビーシュマからこの争いを終結させる方法を聞くよう促しました。ビーシュマは自らを打ち取る方法をパーンダヴァ兄弟たちに教えました。翌日、ビーシュマは自ら教えた策により倒れたのでした。

戦場で対峙するアルジュナとビーシュマ
ビーシュマ、倒れる。
倒れた老戦士はアルジュナが彼に放った無数の矢により体が地面から浮いていました。にもかかわらず彼は生きていました。自ら死期を決める恩恵が与えられていたからです。両軍がこの老戦士を悼むために集まりました。アルジュナは枕代わりとなる矢をビーシュマの頭の下に放ち、力いっぱい地面に向かって矢を放ち地上から水を湧き上がらせました。照りつける太陽の下、ビーシュマが喉を渇かすことがないようにと。


シュリーマド・バガヴァタム講習ではシュリ・スワミ・ヴィシュワナンダはビーシュマのクリシュナへの献身の偉大さについて話しました。

第9章39節
śrī-bhīṣma uvāca
vijaya-ratha-kuṭumbha ātta-totre
dhṛta-haya-raśmini tac-chriyekṣaṇīye
bhagavati ratir astu me mumūrṣor
yam iha nirīkṣya hatā gatāḥ sva-rūpam

「ビーシュマは言いました。「死の瞬間において私の集中は彼(クリシュナ)に向いている。私には彼だけが見える。私は彼に惹きつけられる。磁石のように彼は私を引き付ける。私はマインドをクリシュナが操る戦車に集中する。彼は鞭を右手に、手綱を左手に持って立ち、何としてでもアルジュナの戦車を守ろうととても慎重であった。クルクシェートラの戦場において彼をみた者たちは、死後彼ら本来の姿に至った。」

そう、ビーシュマは言っています。戦場での死に際にクリシュナを見たものは皆、真の姿に至ったと言っています。彼らはただの人間ではありませんでした。彼らは主のリーラ(遊戯)を見物しに来たデーヴァたちです。そこに彼と一緒に参加するためです。4百万もいる中の1人の兵士にとってさえ、彼を一瞥するだけで十分だったのです。その一瞥が彼らを解放しました。自由にしました。



ここで彼は言っています。「私の集中、マインド、私はアルジュナの戦車の御者に集中している。」知っての通り、戦場の真っただ中においては・・・マハバーラタを見たことがありますか?全てがあちこちらに動き回り、皆が大きな戦車に乗って走り回っています。皆の集中はと言えば、「あいつを殺してやる。殺してやる。殺してやる。」といった具合です。パーンダヴァ兄弟でさえあちこち走り回っていました。そうですね?ビーシュマは違いました。回りで何が起こっていようとも、ただの1度もクリシュナからマインドが離れることはありませんでした。彼のマインドは「何てことだ!アルジュナが私にかかってこようとしている!」「ビーシュマ、何が起こっている?ドゥルヨーダナはどこだ?」などと言うことはありませんでした。彼には自分の務めがありました。軍の大将として彼は自分の務めを果たさなくてはなりませんでした。


しかしそれでも戦場での彼の目は常にクリシュナを見ていました。アルジュナさえ見ていません。彼のマインドはクリシュナにだけ向いていました。どれほど偉大なことか分かるでしょう?彼の説明した様、右手には彼は鞭を持ち、左手には手綱を持ち、そして慎重にアルジュナを守っている彼、それはつまりそれぞれのハートの内側で座っている彼の様子です!彼はそこにいます。御者は戦車を導いています。

完全に目覚めた魂においては、昨日も話しましたが彼はその人を蹴り飛ばして所有権を奪います。それが彼がまさにマハーバーラタでやったことです。分かりますね?彼は御者となることを選択しました。それは彼がそれぞれのハートの中の御者だからです!彼こそが内側で導き、すべてを行っている存在なのです。彼は5000年前にクルクシェートラで戦車を操っていただけの存在ではありません。いいえ。彼は今もハートの中にいます。そして、戦車、つまり肉体とは彼のことであり、そこにパワーを与えているのも彼であり、この肉体を操っているのもまた彼なのです。

ここでビーシュマは言いました。「彼の肉体的な様相を見たもの、面と向かって彼を見たものは、死後彼ら本来の姿に戻った。」ドゥルヨーダナでさえ彼のゲームに過ぎませんでした。すべてのカウラヴァ兄弟は彼の芝居に過ぎませんでした。なぜなら彼は神だからです。神が何かにだけ制限されていたら彼は神ではあり得ませんね?違いますか?ビーシュマは言っています。「それに気付きなさい。あなたの死に際に彼のヴィジョンを見れるように。彼のヴィジョンを見て死ねればあなたは完全に自由です。彼が別の何かを企んでいない限り。(聴衆笑い)」


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